会社設立と定款認証

あなたがもしも会社設立を考えているのであれば、「定款認証」についての知識は必ず身につけておく必要があるでしょう。
小売店、飲食店、IT、製造、建設、水産農林業、医療、法律、サービス業などなど、世の中にはたくさんの業種がありますが、どのような業種のどのような会社を設立するにしても、新に会社設立する以上は必ず法務局への「定款」の提出が必要になってきます。
合資会社や合名会社、合同会社といった、いわゆる持分会社の場合は定款の提出のみですが、株式会社などの場合は、さらに提出前の「定款認証」が必要となるのです。

しかしいったい、定款認証とはそもそもどのようなものなのでしょうか?
多くの人にとって、あまり馴染みのない言葉ですよね。
今回の記事では会社設立を検討している人に参考にしてもらうべく、定款認証とはどのようなものなのか、詳しく解説します。

定款認証とは、読んで字のごとく「定款の認証」です。
これは誰でも理解できることですよね。
問題なのは「定款」の部分です。
この「定款」の意味が分からないから、定款認証がどういったものなのかが分からない、そもそもなんと読むのかも分からない、という人がほとんどでしょう。
(ちなみに「定款」は「ていかん」と読みます。)
逆に言えば、定款の意味を理解してしまえば、定款認証というものの全貌がほぼ理解できるといえます。
では定款とは、どのようなものなのでしょうか?

定款とは、簡単に言うと「会社の詳細情報」、もしくは「それを記録した書類や電子媒体」を指す言葉です。
会社の屋号や商号、本社の所在地、組織、運営、資本金、株式、事業目的などが、定款に記載される項目となります。

認証を得る際、屋号や商号、事業目的、本社の所在地などは記載が必須なので、「絶対的記載事項」と呼ばれています。
絶対的記載事項は設立する会社が株式会社、合同会社、合資会社、合名会社、社団法人、一般社団法人のいずれに該当するかによって変わってきますが、この三点は全てに共通して必須となる絶対的記載事項となっているのです。
ちなみに絶対的記載事項の他にも「相対的記載事項」「任意的記載事項」などがあります。

ではこれらを、どこで、誰に認証してもらう必要があるのでしょうか?
その答えは「公証役場」で「公証人」に、となります。

公証役場は公証人役場とも呼ばれ、その名の通り、各都市の官公庁になります。
ただし、全ての市町村の役所や役場が公証役場に該当するわけではありません。
たとえば栃木県の場合は宇都宮、足利、小山、大田原の四か所、山梨県の場合は甲府と大月の二か所といったように、各県毎に数か所の市役所のみが公証役場となっています。
東京都のみ四十か所を超える公証役場が存在していますが、これは例外であり、基本的には多い県でも十か所前後となっているのです。
会社設立の際には、創業する会社の本社所在地がどの公証役場の管轄になるかを調べて、該当する公証役場に足を運び、定款認証を受ける必要があります。

では次に「公証人」についてですが、公証人とは簡単に言えば公務員です。
ただし当然、官公庁で働く全ての公務員が公証人になりえるというわけではありません。
国家公務である公証事務を担う公務員のみを公証人と呼びます。
公証事務とは定款認証だけでなく、遺言や離婚といった個人的な問題から不動産の賃貸借、事実実験公正証書など、一般人にあまり馴染みのない部分まで幅広く担います。
そのため公証人には高度な法律の知識や法律に関わる実務経験が必要となりますが、その性質上、中立性や公平性も求められるため、弁護士や司法書士などではなく、検事や判事などを長く務めた人物が法務大臣に任命されて公証人となります。
そういった高いハードルが設けられている公証人ですので、全国におよそ500人程度しか存在していないのです。

つまり定款認証とは、会社設立にあたって、会社の名前や事業目的、所在地といった会社の基本的な情報を、公の場である官公庁で然るべき人物により認証してもらう行為なのです。
ではそもそもなぜ、会社設立にあたって定款認証が必要となるのでしょうか?
理由はいくつか挙げられますが、やはり「定款に法的な効力、拘束力を持たせるため」というのが大きな理由の一つに挙げられるでしょう。

例えば定款認証の際に必ず絶対的記載事項となるのが「事業目的」ですが、これはその会社がどのような目的で事業を営むかを明確にしたものです。
事業目的の項目には明確性と営利性、合法性が求められ、会社設立後はこれに沿った範囲内で活動することが可能となります。
逆に言えば、著しく事業目的に反した行為は認められないということになります。
「自分で立ち上げた会社であれば、どんな商売をしても良い」というわけではないのです。
(ただし多くの会社は定款認証の際に将来的に予定している事業も記載しますし、「付帯関連する一切の事業」とも記載しますので、常識の範囲内であれば、「運営上必要な行為である」と認められ、違反にならないケースがほとんどです。)
許認可を必要とする派遣業や建設業などの定款認証の際に該当事業が記載されておらず、許認可を受ける際に不利になることなどもあります。
いずれにしても、定款認証の際には細部までじっくりと吟味して記載する必要があるのです。

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